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海洋天堂

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映画 『海洋天堂』 を鑑賞しての感想です^^
この映画の公開実現を願う有志の方の合い言葉は
「見たい見せたい海洋天堂」であったと思います。
見たい見せたいという願いが叶ってよかった。
スタッフ・キャスト作り手のこの映画に賭ける誠実な思いの伝わってくる一本でした。

自閉症の子、その父の日常を淡々と描いている映画なのに、
中盤くらいから涙が流れてきてしまって…
ハンカチを忘れて、車に積んであった大きめタオルを持って
映画鑑賞に臨んだ自分正解。

私は自閉症の子を持つ親であるので
主観が入りすぎてしまうかもしれないけれど
感じたこと、残しておきたいと思います。
映画の筋をがっつりまじえての感想になっているので 
(各地でまだ上映中なのにごめんなさい
感想は続きを読む形式にしますね^^


  
   水族館で働く心誠(シンチョン)は、
 泳ぐことがなによりも好きな自閉症の息子・大福(ターフー)を男手ひとつで育ててきた。
 ある日、心誠は自分が癌に侵され余命幾ばくもないと知らされる。
 残された時間で、自分亡き後の息子の居場所を見つけ、
 また暮らしていく術を伝えなくてはならない。
 すこしでも君が幸せに暮らせるようにー。


我が子に障害があるとわかったその日から、
人によってその事実の受け容れの過程はまったく異なるものだろうけれど、
日々を送るなかで、
「親亡きあと、この子達はどうやって暮らしていくのか」
この現実的な問題が次第に大きな心配、不安となって
親の心を占めてくるのではないか。
それも子どもの年齢的な成長につれて。
本来、子どもが大人に近付いてくるのは嬉しいことのはずなのに。

衣食住事足りていれば幸せとはいうものの、
それらを自分の力で整えることが困難である子の場合どうしたらいいのか。
どうしたらいいのかと悩んでばかりもいられないので
私たちは 「その日」 を迎えるまで子とともに歩んでいかなければならない。

映画の中の父・心誠は末期がんに侵され、
残された時間がどれほどのものか、見ている私たちにはわからないのだけれど
かなり限られたものであろう時間を自閉症の息子・大福のために費やす。

父亡き後でも、大福が暮らすことのできる施設は見つかった。
卵料理の作り方も教えた。
どこでバスを降りるのか、降りる場所は大きな声で運転手に伝える。
服の脱ぎ方も大福は覚えた。テレビの上にぬいぐるみは置かないよ。
モップの丁寧なかけ方も。

「暮らす場所」を見つけた、
大福のために父が成したこととして、最も安心につながることではないか。
でも、卵料理の作り方を覚えた、テレビの上にぬいぐるみは置かない、
この辺りはとても些細なことで、
私たちは、卵を食べるだけでは人間が生きてはいけないことを知っているし、
テレビの上にぬいぐるみが乗っていようがいまいが
人生に大きな影響を与えるものではないこともわかっている。 

スクリーンに映し出される心誠からは、
迫りくる死への恐怖は殊更には感じられない。
けれど、大福への教えが些細なことであるだけに、
これだけでも覚えていてほしい、教えずには置いて逝けないという父の切実な思い、
限りある時間の中で息子に何を伝えていけるのかという焦りが感じられた。

同じように障害のある子どもを育てる身としては、
そのようなことを教えて、人間がひとり暮らしていくための力になり得るのかと
心誠の力の傾け方を徒労だと嗤うことはできない。
ひとつのことができた、そう思うことが親の自己満足であっても安心につながるし、
ここを足がかりにして、また我が子たちが新しい扉を開くかもしれない、
そう信じているからだ。

子どもを取り巻く環境でも何が起きるかわからない昨今、
小学生の母である私にも、不審者情報というものがまわってくることがある。
明らかに性的に倒錯した人間の行動というときもあれば、
道路に寝転がっていた、
大きな声で独りで暴言のようなものを吐いている人間がいると伝言を聞くこともある。
気安い間柄の集まりであると
きっと頭のおかしな人なのだろうと口伝えに聞く。

危険から子どもを守るというのは誰もが心がけなければいけないことであるから、
頭がおかしいという言葉だけを捉えて無理解だ、などと言うつもりはないのだけれど、
なぜその人が-自閉症かどうか断定はできないけれど
成人になって声をあげて
道路を独りで歩くことになっているのだろうかと境遇に思いを馳せることはあるし、
また、自分の子どもとて、独りで歩きながら、大きな声をあげていたら
「頭のおかしな人」としてくくられてしまうこともあるだろう、
そうして想像してみると胸がちくりと痛んで、複雑な思いがすることも本当だ。

社会福祉制度がまだ不十分であるらしい国で
大福の居場所を見つけるために心誠は苦労するけれども、
心誠・大福親子の身近にいる周囲の人々はひたすら温かく優しい。
これは映画だから現実はそう甘くはない。
確かにそうかもしれないけれど、
やはり私たち親子の歩みを振り返ってみれば、
いつだって温かな周囲の人の気持ちに支えられてきた。
心誠・大福親子を見守る周囲の人の態度は私たちに希望をもたらすものだ。
このことについても信じよう。見ていてくれる人は必ずいる、と。

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最後に心誠が大福に伝えたこと。

親亡きあと、安心して暮らせるようにと
大福に寄り添い、ときには心から笑い、
ときには伝わりにくい子に苛々としながら教えたバスの乗り方や洋服の脱ぎ方よりも
もっと伝わりにくいことである。目には見えないものだから。

親の命が尽きて、また子どもには明日が始まる。
ショマには翌日から彼らしく規則正しく過ごしてほしいと思う。
今から親亡きあとを不安に思っているスズには
不安に思うことない大丈夫だ、という自信を
今から少しずつ与えていけたらと考えている。

君たちの内面を出会う人すべてに細かに知ってもらうというのは無理だろう。
変わっている、いや、先に書いたようなより残酷な言葉をもって捉えられてしまうことも、
ないと思いたいけどあるかもしれない。
けれども、いつも母としての自分自身に願うのは
君たちのことを大好きだという人間がいたことをふと思い出す、
思い出すという自発的なものでなくても、感覚的に知っているかもでじゅうぶんかな、
愛された記憶が残るような日々を一緒に送っていけたらということだ。
私はこの年になっても、誰かに愛された記憶、必要とされたという記憶が
人間の生きる力につながると強く固く信じているのだ。
心誠の教えに私の願いが重なる。

かつて大福の母を、
次には心誠自身を、そして親の事情をあずかり知らぬ大福をも
苦悩とともに飲み込み、飲み込もうとした海は、
心誠の最後の教えをもって慈愛に満ちた世界-海洋天堂に変わる。

上映後、映画のシーンをひとつひとつ思い出しながら、
父の教えを守り、
大福がテレビに置いたぬいぐるみを戻したシーンを思い出して
覚えたことはしっかり守る人ならではだったなぁと思わずクスッとなってしまう。
そして、最後の教えもきっと心誠は心に留め置いているに違いないんだ、
ぬいぐるみのシーンを根拠にして
そう思うとやはり涙が伝ってきてしまった。今も鼻水出てます(笑)


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       ありがとうございます。よろしくお願いします。  

| 自閉症関連 | 14:14 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ご無沙汰しています。
午後の休憩時間に読ませていただいたので、仕事中に
涙が溢れてきて慌てました。
いま改めて読ませていただいて、私も鼻水出てます(笑)

活動中はたいへんお世話になりました。
ムーコさんが活動を紹介してくださったおかげで
たくさんの方に賛同メッセージを書いていただきました。
お蔭様で見たい!見せたい(見ていただきたい)!という夢が叶いました。

幸い評判もいいようですが、単館系での公開ということで
観客動員数は最終的に10万人くらいではないかと勝手に推測しています。
でも私の勘はよく外れます^^

映画を観て感動した・・で終わるのではなく、具体的な何かを
残したいねと話してはいるんですが、何をしていいか分からなくて・・。
とりあえず年内は『海洋天堂』の広報活動を続けます☆

| しゅう | 2011/09/02 22:18 | URL | ≫ EDIT

こちらは

ムーコさん、こんばんは。

 こちらでの公開もあります。
 が、月末~来月頭という・・・ほぼ1ヶ月ぐらいあとですね。
 時間をなんとか作って、見に行ってみたいと思います。
 できれば友人とも行きたいけれど・・・。

| Y's | 2011/09/02 23:40 | URL | ≫ EDIT

しゅう様

しゅうさん、おはようございますi-1

こちらこそご無沙汰しておりました。
しゅうさんに感想を読んでいただけて、
そして感想を書ける日を迎えることができて本当にうれしいですi-179
中華系の映画の大々的な公開はどんどん難しくなっていると
ええ、ひしひしと感じていますので(笑)
りんちぇ兄さんの迷の方々が先頭に立ってくださって
良作の公開につながったことに感謝するばかりです。

私が行った日は月曜の朝イチの回ということもあり、
40席のところ10人ちょっという入りだったかと。
少ない人数ではありましたが、大福君がパニックになったあたりではピンと空気が張り詰め、
同じような場面ですすり泣きの声が漏れてきてといった一体感があって、
劇場の空気とともに映画を味わう、よい経験ができました。
来週から少し時間がずれて、より集客が望めるのではないかなと勝手に思っています。
私もまた行く予定です。
仙台は震災の影響でいくつかの映画館が閉まってしまい、
フォーラムさんの上映スケジュールも恐らくきつきつだと思います。
その中での上映、よく実現したと思いますし、
ロングランは映画館の事情もありますし、
難しいと思いますが少しでも足を運べたらいいなと考えています。

他の地方での上映で、こればかりはしゅうさんの勘が外れるといいですねi-236
広報活動、応援してますi-179

| ムーコ | 2011/09/03 10:04 | URL |

Y's様

Y'sさん、おはようございますi-1
台風の影響はどうでしょうか。
進路が日本海よりになりそうですので心配です。
シマネコ君、ちゃんとお家にいてね。

これから見てくださろうという方に
すごいネタバレでごめんなさい。
ですが、一観客の私が言うのもあれですが
たくさんの人に見ていただけたなら嬉しいなぁと思います。
涙が出るけれど哀しみばかりの話ではないので^^
仙台の後くらいにフィルムが北陸に行くのかしら。
納言子さんによると、九州から仙台に行ったのではないかとのことでした。
全国を長く旅してほしいものですi-179

| ムーコ | 2011/09/03 10:12 | URL |














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