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以前のこと~1歳半検診・4

発達検査、歯科検診、身体検査とすべての検査を終え、
みんな散り散りに帰っていきます。
その後で行われる発達相談。

このころには時刻も確か午後3時を過ぎ、
初めての場所で激しく動き回ったショマも疲れたのか
ベビーカーの中でおとなしく座っていました。

奥の個室のドアノブにかけてある【発達相談】の文字が書かれた札。
まだ前の順番の人が相談を続けていて、
数十分、その文字を見つめながら待っていました。
どんなことを聞かれるんだろう。
相談すると軽く受けてみたものの、
ショマの何をどう説明したらいいのかわからない。

時おり、誰かのスリッパの音がパタパタと響くだけの
静まり返った廊下の椅子に座り、
面倒なことに自ら首を突っ込んだのかな、やめればよかったかなと
後悔の気持ちに襲われはじめたあたりで順番がやってきました。
個室のドアが開け放たれ、
ショマと入ってくるよう促されました。

席について、向かい合って座った発達相談員の方に
何が気になっているのか詳しく話してと問われることもなかったのですが、
ショマの普段の様子をポツリポツリと伝え、話すうちに
検診での出来事がひとつひとつ思い出され、
急に感情の抑制がきかなくなって
自分でも訳のわからないうちにウワーッと泣いてしまいました。

このときの発達相談の様子を
同じ発達相談員の方に会ったことのある友人に後に話す機会があり、
あなた、そんなずるいわ、と笑い話になりました。

発達相談員の方が若くて素敵な男性だったのです。
私も当時は若かったので、
そんな若い女がはらりはらりと目の前で涙を流したら(実際はウワーッ)、
優しくもするわと友人に言われ。
別に若くて素敵な男性の前だから泣いてしまえと
計算が働いたわけでもなかったのですが、とにかく彼は優しかった。

身体検査のときに、
にこにこと微笑みをたたえながら立っている青年がいて、
ずいぶん優しそうなお父さんだなと気にはなっていたのです。
動き回るショマを追いかけて大変だったはずなのに、この辺りは私も目ざとい。

その青年は誰かのお父さんではなく、
当時、区で発達相談員として仕事をしていたS先生でした。
部屋の後ろに立って子どもたち全体の様子を見ていたんですね。
たぶん、というか、確実にショマの様子も見ていたでしょう。

S先生が本をめくって見せても、やはりショマに反応はなく、
私たちから逃れるように床に座り、ミニカーを並べていました。
この発達相談で何をどういう風に伝えたのか詳細は忘れてしまったのですが、
そのショマを斜め下に見ながら、ややうつむいて話したのを覚えています。

S先生はただうなずき、
私とショマとを優しい眼差しで交互に見つめながら話を聞いてくれました。
母親は泣き出すわ、陰気な喋り方をするわ、
検診時に子どもは激しく動き回っているわで、
S先生が私たちを放っておいたらまずい親子と思ったであろうことは
想像に難くありません。

 区の親子教室にいらっしゃいませんか。

S先生に誘われました。
公共の交通機関を使って区役所に出向くのも負担だし、
新しい場所にショマを連れて行くのは困難が予想され、抵抗がありました。
私自身、当時は人見知りがひどく、
知らない人たちのなかで一から関係を築く煩わしさも感じていました。

でも、たった月に一度の親子教室です。
それらを我慢して、ショマの遊びの場が広がるのなら…。

そして、煩わしいと思いながらも、私は同時に待っていたのだと思います。
どこにぶつけてよいのかわからない不安だけが少しずつ広がり、
息が詰まってきそうな閉塞としか言いようのないこの状況を打破してくれるために
誰かが手を差し伸べてくれる時を。


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      いつも応援ありがとうございます^^
  

   S先生は首都圏の発達支援関連の施設から東北大学に勉強にいらして、
   同時に区の発達相談員として働いていらっしゃいました。
   今はもう仙台にはいないけれど、
   どこかで微笑みをたたえて頑張っておられるのかなぁと思います^^

| 自閉症関連~以前のこと | 07:05 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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