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僕のともだちの名前

前回の続きです。
ショマが保育所生活を終えて就学する際、
地域の小学校の特別支援学級に在籍させるか、養護学校に在籍させるか迷っていました。
判定では養護学校相当。
教育相談会で判定を受ける日、
はじめての場所でテンションがあがっていっときたりとも着席できず走り回るショマ。
私たち夫婦が相談員の方と話している間、
ショマに付き添っていた年配の女性は息があがっていました。
就学時検診でもみんなの列にまったく並べず、体育館に並ぶ跳び箱によじ登って
走りながら次々に跳び箱をジャンプして渡る。
今なら、あのときのショマすげかったなぁと笑えるのですが、
そのときは涙が自然に溢れてしまうほどに情けなく、居所のなさを感じました。
あの跳び箱飛びのショマと、
八艘飛びの義経の逸話とがだぶって感じられるようなイメージ、

たぶん一生忘れられない私の中のショマの逸話です(笑)。

それでも、はじめての場所ではじめての経験をするからだ、
慣れてくれば地域の特別支援学級でも大丈夫かもしれないと信じる気持ちは残っていて。
保育所の先生の努力もあって、少しずつ認知の力は伸びていて、
ショマなりの人との交わり方が私たちの目にも見えるような形で表に滲んできている
―わずかな実感を伴って、わずかな手応えを感じていた時期だったこともありました。
もっともっと力を伸ばしたい。
というと子どもの成長を心から願う親のようですが、成長を願う心の底には
結局、養護学校という隔絶された場所(と思っていました)へ
我が子を入れることへの抵抗感もまたずっとくすぶっていたのだと思います。
判定とは異なる私たちの希望を伝えたい、特別支援学級の担任の先生と相談を重ねました。

まず安全を重視したいので、この学校の中ではショマ君を追いかけるだけに終始して
たぶん十分な支援はしてあげられないかもしれない、そう言われました。
文字だけで書くと、無理ですと突っぱねられたかのような印象になってしまいますが、
でも、そうではなく、何度か相談も重ねていて、先方の先生の人柄も承知してたので
とても率直で、そしてショマのことを思っての意見だとストンと胸に落ちたんです。

支援学級に入れたい、そちらにだけ心が傾いていたので
養護学校に足が向くということはそれまでありませんでした。
ショマを連れて養護学校の先生と話をしたのはずいぶん遅い時期。
ショマの状態を見てもらいながら、丁寧な説明を主任の先生から受けました。
養護学校という場所はどうしても対大人(先生)との関わりが主になるということ、
大人との関わりの中でも子どもは成長するけれど、
子どもは他の子どもとの関わりの中でもっと伸びるということがある、
その点をお母さんは納得できますか、先生にそう問われました。
いわば養護学校の不利な点を述べてくれたので、これまた率直な意見と感じました。
そしてその後に、お母さんがその点を納得できるなら、
お母さんの大切なお子さんを私たちは大歓迎でお預かりします、
そう言ってくださったのです。
私たち親子のために力を尽くしてくれている人はそれまでにもたくさんいたのに
子どもが障害を持って生まれたこと、私自身がその子のことを恥じていて、
進路という分かれ道に立たされると
いちいち色々な場所に出向いて、人に聞かなければ決められない、
私たちには歓迎される居場所などないと思っていました。
だから歓迎すると言われ、簡単な言葉でしか表現できないけれど本当に本当に嬉しかった。
その言葉だけを信じて、この先を進んでいける。

保育所でもショマに積極的に関わってくれるお友達がいて、
最初はその輪の中にすくんで立っているような状態でしたが、
卒園を控える時期のころには
友達に話しかけられたり、お世話されたりという関係も受け入れられるようになっていました。
養護学校に入ることで、今芽生えてきている子ども同士の関わりを断つ、
納得ではなく、これは仕方がないことなのだと思いました。
ひとつを優先させれば、別の何かを捨てなければならない。

養護学校に入学して、最初はクラス4人でのスタート。
入学式の顔合わせのとき、すくなっ!!と思いました。
お友達の転校、転入があり入れ替わりもありましたが、
よくブログに登場するSさんのお子さんが、一年生の途中で入学してきて
ショマが一年生のときから一緒に過ごしてきたクラスメートがふたり、
現在はクラス5人編成です。
Sさんのお子さん、N君とは家も近いこともあって家を行き来してよく遊ぶし、
たまに預かることもあるし、ショマを預かってもらうこともあります。
一緒にいることの心地よさ、長く学校生活をともにしてきた安心感、
ふたりの間に流れる空気の柔らかさ、楽しげな様子。
情というより、長く親しんできた人といることの感覚的な快、に近いのかもしれないけれど
私が知らない学校にいる間のショマが培い育んできた関係性というものが
しっかり存在するのだと実感できることがあります。
ショマがクラスの友達の名前をお習字で書きたい、そう言ったと教えてもらい
子ども同士で育てあう関係は養護学校ではあきらめよう、
私の納得の仕方、仕方ないと思っていた自分がやはり間違っていたのかなと思います。
 
新川和江さんの「名づけられた葉」という詩にある
「わたしは 呼ばれる わたしだけの名で 朝に夕に」というフレーズが好きです。
この子たちにとって唇の端に音となってのぼらない名であるかもしれない、
私の耳にははっきりと音となって聞こえない名であるかもしれない、
でも心で呼び合う友達の名はみんなの中にきっとあると私は信じます。 

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ありがとうございます。よろしくお願いします。

| 自閉症関連 | 10:28 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

今の学校は
ショマ君にとって居心地のいい場所のようで、
とてもうれしいです。

進路の選択については、
その都度とても迷いますよね。
でも、
ムーコさんのように
いっぱい悩んで決めたら
その選択に
自信を持って進んでいけば
いい結果がついてくるような気がします。

子どもたちは
とてもゆっくりですが
ちゃんと成長していく力を持っています。
そして、親である私は、
子どもに日々育てられています。

| にゃんずママ | 2009/02/15 20:50 | URL | ≫ EDIT

<新川和江さんの「名づけられた葉」という詩にある
「わたしは 呼ばれる わたしだけの名で 朝に夕に」というフレーズが好きです。
いい詞ですね。

そして今日の記事もいいお話でした。

| lotta | 2009/02/15 22:25 | URL | ≫ EDIT

にゃんずママ様

にゃんずママさん、コメントありがとうございました。
またお越しいただけてとてもうれしいです^^

進路の選択に迷って、選択の責任が少なからず親にあると思うと
別の道を選んでいたらどうだったかなと思うときもあります。
けれど、今、楽しそうにポツリポツリと学校での出来事を話してくれるのを見ると
たら、れば、の話は無意味なことのようにも思えてくるから不思議です。

毎日にささやかな発見があります。
それが楽しくて嬉しい、今の日々を大事に暮らしていきたいと思います。
子どもの成長と自分の成長も信じて。
にゃんずママさん温かなコメントありがとうございました。

| ムーコ | 2009/02/16 05:32 | URL |

lotta様

ショマたちと暮らして、様々な人と触れ合うことで
みんなにそれぞれの思いが込められた名があること、
その名を大事に呼びかけてくれる人や存在が
誰にとってもいるのではないか、
そう知ったような気がします。
名づけられた葉、時々開いて読みます。
力強く、自分にも力が湧いてくる詩です。

| ムーコ | 2009/02/16 05:51 | URL |

はじめまして。

はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。最初は犬関連で貴ブログを知ったのですが、仙台にお住まいの事やショマ、スズちゃんの事を知り何故か目が離せなくなりました。私も仙台に住んでいます。そして義姉の長男が自閉症です。今年23才になる甥っ子は今職業訓練を受けています。とてもいい子ですよ。私は、義姉はよくこんないい子に育てたなあ、と心から義姉を尊敬しています。貴ブログを読むといつも義姉の言葉が思い出されます。『この子は私にしか育てられないのよ。だからうちに生まれてきたのよ。』って。
ムーコ様の温かいブログを拝見していると、ムーコ様もも神様から選ばれたんだなぁ、と思います。これからも素敵な記事を書いてくださいね。楽しみにしています。
ちなみに、義姉の大好きな言葉は『ま、いいか』です。私も大好きな元気になる魔法の言葉ですよ。

| Jump | 2009/02/16 20:15 | URL |

Jump様

Jumpさん、はじめまして!!
仙台にお住まいなのですね、
丁寧な心のこもったコメント、ありがとうございます。
犬関連のことでこちらまで訪れてくれる方も多く、
その縁で身近にこんな人がいるよ、こんなことがあったよと
自閉症のことについても教えてくれる方もいらっしゃって
竜と小梅がつないでくれる縁に感謝しています。

Jumpさんのお義姉様の『ま、いいか』という言葉、
元気になる魔法、わかる気がします。
毎日来る日も来る日も、障害ってなんだろうと
考えこんでいるわけではもちろんないのですが
ともすれば難しく考えてしまったり、将来を不安に思うこともまたもちろんあります。
たぶん、私は精神的な根本にあるものはとても暗いんです。
すぐネガティブなほうに揺れて、不安に引きずり込まれそうというときに、
心のバランスを取ろうと思うと
でも子どもたち可愛いしなぁ、それでいいか!という単純な思考に戻るとスッキリします(笑)。
今の生活はまずまずだと自分で思います。
完璧な形ではないかもしれない、でも最悪じゃない、
少し笑えることが毎日なにかあってまずまず。
私の身の丈にあった喜びを綴っていけたらと思います。
またぜひ遊びにいらしてくださいね! コメントありがとうございました^^

| ムーコ | 2009/02/17 18:50 | URL |














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